更年期と聞くと、閉経後の女性を思い浮かべる人も多いはず。
ですが、実は男性にも更年期障害は存在します。
「男性更年期障害」また、「LOH症候群」といいます。
LOHとは、Late-Onset Hypogonadism の頭文字をとったことが由来です。

最近では、タレントのヒロミさんや俳優の清水宏次朗さんが男性更年期障害であることを公表しています。

男女の更年期の違い


そもそも世間で一般的に言われている、いわゆる「更年期」とは一体どのようなものなのか。
簡単に説明すると、男性ホルモンや女性ホルモンといった性ホルモンが減少することで起こる心身の不調のことを指します。

女性の場合は、閉経の前後5年以内がこの更年期にあたります。
期間や症状の重さには個人差があるものの、女性であれば誰もが通る道であり、期間はこの10年以内に限定されます。

しかし、男性の場合は全ての人が発症するわけではなく、時期も一定しません。
女性のようにハッキリとした節目もなく、80代で起こることもあれば、早い人だと30代で起こることもあります。
期間も終わりがなく、基本的には自然に回復することはありません。

ちなみに元プロ野球選手でタレントの長嶋一茂さんは、40歳で男性更年期障害を発症したことを公表しています。

主な症状


1)性線機能の症状
性欲(リビドー)の減少、勃起障害、朝立ちの消失

2)精神症状
うつ、倦怠感、疲労感、不安感、記憶力の低下、集中力の低下、イライラ

3)身体症状
筋力の低下、体脂肪の増加、骨塩量の減少、頭痛、めまい、発汗、ほてり

LOH症候群の基準

LOH症候群の診断基準は

メンタルと身体に症状があり、午前中の総テストステロン値が250ng/ml以下

メンタルと身体に症状は見られても、総テストステロン値が250ng/ml以上の場合は
フリーテストステロン値が7.5pg/ml以下

引用:日本メンズヘルス医学会 LOH症候群 診療の手引き

とされています。

テストステロンについて知りたい方は以前の記事を参考にしてみてください。
〈そもそもテストステロンとは?〉

総テストステロン=血液中のテストステロンの全体量 フリーテストステロン=血液中に単独で存在している最も活性の強いテストステロン
ng=ナノグラム(千分の1グラム) pg=ピコグラム(1兆分の1グラム)

なぜテストステロンが減ってしまうのか

先ほども言ったようにLOH症候群は、男性誰しもが発症するわけではありません。
確かに加齢によってテストステロンが減ってしまうことは事実ですが、本来その減少幅は緩やかです。
では、なぜ急激に減ってしまうことがあるのか。
その引き金になるものはストレス、肥満、生活習慣です。

LOH症候群かも?と思ったら

LOH症候群の診断に国際的に広く用いられているAMS(加齢男性症状調査票)というものがあります。
身体に関するもの7項目、メンタルに関するもの5項目、性機能に関するもの5項目の全17項目で構成された質問票です。
点数が高いほど症状が強いことを表し、それぞれの点数を合計した総点数で評価します。
総点数50点以上だった場合は、医療機関の受診が推奨されます。
気になる方は是非セルフチェックしてみたください。

おわりに

テストステロンは、仮にゼロになったとしても命に関わることにはなりません。
しかし、性欲は衰え、肥満化し、メンタルも病んでしまってはQOLが著しく下がることは明白です。
LOH症候群はまだまだ世間の認知度が低いので、これらの不調がメンタルや身体に実際に起こったとしても「テストステロンのせいかも?」と考える人自体少ないでしょう。
「もう歳だから仕方ない」などと安易に考えず、発症する前から予防に努めていくことが重要です。



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